生きるとは何か - No.24-1

地球温暖化を考える

2024.1.1発行

厳しい寒さが巡ってきました。猛暑の夏では考えられないような寒さです。季節は確実に変わり、この変化は人間活動とは関係なく、大きな自然の循環です。この寒い冬には暖房が欠かせません。CO2を出さないクリーンなエネルギーで地球温暖化を防ぎましょうとの掛け声が聞こえてきます。年末の街にでると、輝くネオンサインと買い物を楽しむ人々の流で混雑しています。経済も少し上向いたかに見えますが、これからの電力エネルギー確保には脱炭素という大きな壁があるように感じます。

最近、友人が紹介してくれた分かりやすく書かれた本{渡辺 正著[気候変動・脱酸素」14のウソ](丸善出版、2023年第4版)を入手しましたのでもう少し深堀します。内容が豊富なため、最初の章を要約抜粋して紹介します。渡辺氏は東大名誉教授で電気化学、生体機能化学の専門家です。温暖化に関連する多くの本を出版しています。章の見開きに次の言葉があります。

これだけはホント:大気にCO2が増え続けている

【補足】そのおかげで地球の緑化と食糧の増産が進行中、なを、CO2を大気に増やす要因は、まだよく分かっていない。

CO2が増えていることで、地球の緑化と食料が増産できているのは本当のことのようです。
このような見方も有るのかとは、今回の渡辺氏の本を読むまでは知りませんでした。
私たち庶民は、世の中の常識のようになっている知識は、必ずTVや新聞、インターネットなどから得ている情報で知らず知らずのうちに信じています。
大気にCO2が増加している客観的なデータとして図1に示しています。世界には120以上の観測サイトがありますが、歴史の古いハワイ島のマウナロア中腹(標高3400m地点)のデータです。

図1によると、1958年から2022年4月まで確かに右肩上がりに増えています。図2は濃度曲線のギザギザを拡大したもので、月毎の変化が示されています。ワイ島の季節変動による変化で、春先から夏に植物が勢いよく光合成をして大気からCO2を吸うため、濃度は下がり、晩秋から冬場の光合成活動は弱く,枯れた葉や木や動物の死骸などが分解してCO2に戻る結果、濃度は上がることで、大気のCO2濃度は上下するとのことです。

      

          図2 月毎の変化(図1の部分拡大)

CO2は恵みの物質

CO2は植物が光合成で作り出すデンプンの必須要素で地球上の生命の食糧となるものです。これなしには地球上で生命体は存在できません。抜粋して紹介します。

・ヒトを含めた動物は、体に必須な物質の全部を自力でつくれないから、植物に寄生して生
きるしかない。「寄生虫」の親玉、いちばんだらしない生物が、食糧連載の頂点に立つヒトにほかなりません。きらびやかな大都市の夜景も、暮らしに欠かせない電車も自動車も飛行機も、ことごとく植物の恵みーということに気づいたら、世界を見る目も変わりませんか?

・身近な植物は、4~5億年前に上陸した緑藻の一種が進化・分化し、2~3億年前に大繁殖した生物の子孫です。当時の大気は、現在の何倍も濃いCO2を含んでいました。

以後ゆっくりと減ってきたため、いまの植物は、酸欠ならぬCO2欠に苦しんでいます。だから温室栽培では増収のために油を燃やし、あるいはCO2のボンベを開いて、ハウス内部のCO2濃度を1000~1500ppm(外気の3~4倍)に高めている。

4~5世紀では大気中のCO2濃度は非常に高かったと推定されています。

・植物の増加イコール食糧の増産だから、大気に増えるCO2は、10億に近い飢餓人口を少しは減らしてきたでしょう。けっして環境負荷などではありません。

炭素が生命にとっていかに重要なものであるのか、その担い手のCO2を目のかたきにしている人間の愚かさを感じます。渡辺氏は次に示す14のウソを裏づけのデータを付けて論じています。とても全てを語れませんから14のウソを列挙します。興味を持ったら是非とも本を読んでください。データはQRコードから読むことができるように添付されています。分かりやすく疑問に答えてくれます。

14のウソ

「気候変動」編

ウソ1:地球の気温は近年、ものすごく上がってきた

【事実】温暖化が話題になって約30年のうち、体感さえしにくい0.2~0.3℃しか上がっていない。

ウソ2:IPCCの気温グラフは、現実をよく表している

【事実】都市化は気温を上げやすい、IPCC報告書のグラフは、前章の「補正」が都市化バイアスを含むため、現実よりだいぶ大きい気温上昇をしめす。

ウソ3:近頃台風が狂暴化し、水害も増えてきた

【事実】台風は80~60年前のほうが強かった。乱開発やインフラの老朽化が主因と思える水害も多い。

ウソ4:人間がCO2を出すせいで、北極と南極の氷が減ってきた

【事実】北極圏は、水温が自然変動の上昇期にあるため、海水も減少傾向を示す。

しかし、南極圏の氷が減った気配はない。ウソ5:人間がCO2を出すせいで、各地の氷河が縮小ないし後退中

ウソ5:人間がCO2を出すせいで、各地の氷河が縮小ないし後退中

【事実】縮小ないし後退中の氷河もあるが、CO2の排出とは時期的に一致しない。

ウソ6:海水面の上昇は、サンゴの死滅など、海の異変が起きている

【事実】海水面は、CO2の排出量とは関係なく、1850年頃からほぼ直線的に上昇中。海の生物に特別な変化はない。 

ウソ7:地球の気温は、大気のCO2濃度が決めてきた

【事実】気温とCO2の因果関係は、まだよくわかっていない。長い地球史のうち、

CO2濃度が気温を決めてきた時代はほとんどない。 

「脱炭素」編 

ウソ8:温暖化対策は、環境をよくするために提案された

【事実】1980年代の末、仕事の減りかけた国連の関係者と環境研究者が、次の仕事に仕立て上げた。 

ウソ9:温暖化対策には、CO2の排出削減が最善の選択だった

【事実】一部の研究者と産業界には棚ボタでも、庶民には最悪の選択だった。

ウソ10:京都議定書やパリ協定は、大きな成果をあげてきた

【事実】見るべき成果はなにもない。京都議定書もパリ協定も、大気のCO2濃度にはまったく影響しなかった。 

ウソ11:脱酸素は可能。成功すれば、温暖化の防止に役立つ

【事実】真の脱炭素は当面あり得ない。ただし脱炭素化への道が見つかれば、化石資源の寿命が延びて喜ばしい(温暖化防止効果はゼロに近い)。 

ウソ12:太陽光発電や風力発電は、国のCO2排出を減らす

【事実】減る状況がありえたとしても、格差の拡大、電力の不安定化、環境破壊など、害があまりにも大きい。 

ウソ13:電気自動車やバイオ燃料は、国のCO2排出を減らす

【事実】減らす要素は何もない。バイオ燃料やバイオ系素材は、確実にCO2排出を増やす。 

ウソ14:脱炭素を説く方々は、気候変動を食い止めたい

【事実】時流に乗って経済を活性化し、儲けたい。経済活性化と脱炭素は両立しないと悟るのが、社会の健全化に向けた一歩だろう。

渡辺氏は「おわり」で、次のようなことを書いています。

「CO2が「通説」どおりに地球を暖めるとします。かりに日本国がフッと消えたら、地球の昇温はいくら減るのか? 答えは「30年後に0.01℃」そんな国の中で何をしようと、冷却効果は0.01℃の何桁も下でしょう。むろん気候に影響するはずはありません。いや、再エネもEVもCO2排出を減らせない以上、効果はゼロそのものですね。・・・

なお、カーボンニュートラル(脱炭素)という語は前世紀の末に現れ、どうみても非科学だからとたちまちお蔵入りになっていたところ、詐欺師めいた方々が歴史のゴミ箱から拾い上げたものです。」と述べています。

脱炭素政策が進むと、これからの日本の電力エネルギーを考えたときに、再生可能エネルギーの風力発電や太陽光発電では心許ない、その穴うめを現在休止中の原子力発電で補うとの話が出ています。福島第一原子力発電の炉心溶融という大事故を忘れたのですかと思います。近い将来、東海や南海で大地震が起こる可能性も叫ばれています。自然の力は巨大です、災害時に放射能漏れを考慮せず、復旧が可能な火力発電所を中核に据えることが正解かと個人的には思っています。

最近のニュース:日経新聞(2023年12月16日)に「世界の石炭消費量最高 今年の見直し中印で火力発電所需要」との見出しがあり、全体の7割を消費する中国とインドで火力発電所需要が高まり、過去最大となる。この記事を見ると国連主導の世界の流れに竿をさすことは正解かもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

コメント

  1. 佐藤哲夫 より:

    私も引用されました本の作者の指摘、主張に同感です。環境問題はもっと客観的な科学事実に基づいて議論されるべきと思っています。二酸化炭素と気候変動の関係でノーベル賞を取った方々の声は聞こえず、教育半ばの若者の感情的発言をメディアが大きく報道するのにも違和感を感じます。以下の二つの引用(1、米国の友人がNASAの科学者と同様の指摘をするサイト、2、キャノングローバル戦略研究所の杉本氏)も科学的観点から現在の“脱炭素“に異論を唱えています。

    Home | The Right Climate Stuff

    杉山 大志 | 研究者紹介 |
    キヤノングローバル戦略研究所 (cigs.canon)

    1. 後藤一敏 より:

      佐藤さん
      大杉大志氏の資料有り難うございます。参考になりました。まともな人は異論を唱えても政府や研究費の貰える
      研究者は自身の利益のために反論はしない。この流れは止められない。国民は信じ込まされているか、無関心で
      電気代に上乗せされていることに気づかない状況のようですね。後藤

コメントを残す

*